サンキレポート 平成19年2月号  改装 リノベーション提案01
 

リノベーション提案 01

 昨年の10月末、担当先のマンション居住者より退去の連絡がありました。どうやら近くで戸建てを購入するとかが退去の理由でした。最近マンションの周辺には建売住宅が増えてきており、低金利の影響もあるのでそのような理由で退去することは仕方がないことです。

  このマンションの入居募集には何点かの弱点がありました。それは近隣に間取りや広さ等、競合となる類似物件が多いことでした。中でもある方が所有するマンションは2〜3棟で100室以上と多く、駅前の仲介会社の話では空室が恒常化しているそうで、広告料を含め値段優先の募集体勢を採っている為、担当先のマンション入居募集に常に影響を受けております。

  また、このマンションは南向きバルコニーで非常に日当りがよく、築年数が経過しても人気の満室稼働物件だったのですが、2年ほど前に道路を隔てた南側土地に大きな老人ホームが建設されました。その老人ホームの窓とマンションの窓が向き合う位置にあり、カーテンを開けにくい等の心理的な面で立地の魅力に良くない影響が出ました。
そのようなエリア特性と立地的弱点がある中で、このマンションのポテンシャル(潜在特性)を引き出すには「競合物件の輪の中から抜け出し価格競争に参加しない」「新しい客層を作り出す」という作業によってしか解決できないのではないか?という結論から募集条件を含めたリノベーション提案をオーナー様に行い、実施することになりました。

  【物件概要】
昭和60年代のマンション→もともとは人気物件
周辺に類似物件=競合物件が多く価格競争に巻き込まれる
ある家主所有マンションの値付けに強く影響される
南面に老人ホームが建設され心理的な弱点が生まれる

  【リノベーション内容】
退去予定の号室は角部屋でしたが4階でエレベーターがないという弱点がありました。そのためエレベーターが必要なファミリー層と単身者含むミドル層は対象とするターゲットから外し、若年層とりわけ新婚層に募集ターゲットを絞り込むことから始めました。この絞込みにより「ファミリーだったら」という仲介会社の価値観では競合が多く紹介されにくかったところを、「新婚またはカップルだったら」という新しい価値感で売り込むことで来店客に紹介してもらいやすくなると同時にあえて5,000円月額家賃を増額してエリア相場より高く売り込みました。

  次にターゲットである新婚層に対して何で勝負するかについて調査した結果、キッチンのハイグレード感とターゲットに合う色合いで勝負することと決めました。さらに従来の3DKでは1室あたりの居住空間が狭く、家電の大型化などライフスタイルの変化に適合していないことから、2LDKへの間取り変更を決定しました。

  募集活動については、オーナー様とリノベーションプランならびに募集条件について決定後、早急に物件周辺の仲介会社を中心に豊中・吹田・市内等の約250社に家主代理募集方式による通知活動を行うと共に、リフォームの進捗状況などを絡めたセールスレター(これはかなり反応ありました)などをFAXで送付するなど工夫を凝らしました。年末に工事完了後、年明け早々申込がありました。尚、個人情報により詳しくお伝えすることは出来ませんがお申込者は結婚を控えた国立の大学生でした。連帯保証人も間違いのない方でしたので入居していただくことになりました。

  リノベーション業務は周辺調査による問題点のピックアップとターゲット(客層)の絞込みやターゲット層の生活をシミュレーションするなど、単なるリフォーム工事ではなく、様々な要因をもとに形を決定する作業がとても大切であることを学びました。